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人の情緒を入口にアプローチ 農業共済新聞2012年8月1日

  • 先日東京で行われた果樹試験研究推進協議会のシンポジウムに出席した。
フルーツの持つ栄養素の身体に及ぼす影響や効用が、海外のデータも含めて紹介された。
「果物と健康」の研究が丁寧に行われて、フルーツの魅力の一面を知る上で非常に有意義だった。

    シンポジウムで、果専店を経営する私は、「お客様の好みの方向性」や「お客様を喜ばす方法」という
情緒的なアプローチで販売現場を紹介した。
今後の課題として お客様に必要な情報や技術を研究者にお願いするという内容だった。
    話すことが本職でなく、理系サークルに入った文系初心者のような拙いものだったが、
思いのほか、次々に質問を頂戴し、後段の情報交換会でも
私共の販売現場について皆さまに大変興味を持って頂いた。

    フルーツを愛し、生業とする者は、フルーツは人が最も古くから付き合ってきた天恵の食物の一つであり、
すべからく人の健康に悪影響など与えるわけがないというフルーツ性善説にたっている。
しかし、フルーツのここがよい、ここがいただけないという取り出した観点からは、
フルーツ自体の個性が尊重されていないように思う。
販売者は「この時期に食べるフルーツをおいしいと感じる科学的根拠」や
「体調や環境が人にフルーツを食べたくさせる原理と法則」というように、
人の情緒を入り口とすることで「予防」や「習慣」「文化」と言った
人の営みにより近づいた情報になるのではないだろうか。
感性の数値化は難しかもしれないが、アプローチの方向が変わるだけで
お客さまと直接接する立場の者には説得力があり、使いやすいお客さま目線の情報となると思う。