先日、海外に日本の高品質フルーツを紹介するビジネスの可能性を探りに、台湾に行ってきた。 台北のみの滞在だが、東南アジアを代表する都市の一つらしく、人々の食生活は活気にあふれていた。
フルーツも重要な位置を占めているとみえ、好条件で栽培された豊富な種類のフルーツは、 それを扱う人たちにも似て、大らかで生命力にあふれている。
それでも、フルーツは欧米ほど水の代わりや野菜扱いされていない。 しかも量を食べ、甘味を楽しみ、食感や香りにも敏感で、何より贈答の習慣もある。 台湾では、日本の高度に栽培され、デリケートに育てられるフルーツを、 評価・理解する習慣・気質を備えているのだ。
ただ、今回見た百貨店や高級スーパーでは、 日本のフルーツの良さが必ずしも細やかに伝えられているとは言えず、 さらに価値ある商品を、それを理解する人たちに供給する機会が十分ありそうに見えた。 今日本からの輸出は相場の弱い、大ロットの単位を、 スポットでイベント的に販売するケースが多いようだが、 本来の魅力は、日常の食生活に定着してこそ現れる。 台湾では特に魅力的に映るだろう。 移り変わる四季のフルーツを、継続して供給することに価値がある。
そこに、生産現場を知り、旬、品種、食べ方、保存方法などの日本のフルーツ文化を担う 専門店の出番があるのではないか。 商習慣の違いや検疫・通関などのハードルに加え、 先の震災以降、日本産全体に対する放射線イメージが足かせだが、 なお台湾は、問題点を課題としてクリアする価値のあるマーケットだ。 日本のフルーツの、日本人の楽しみ方や扱い方を商品とともに提供すれば、 日本の正しい理解にもつながる。