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感性に響く果物贈答の習慣 農業共済新聞2011年5月4日

  • 日本人は、果物を嗜好品として扱うので、欧米に比べて消費が伸びないという議論がある。
果たして、彼の国のように、我が国の果物を野菜化・惣菜化・飲料化する事が、
国産果実の魅力として受け入れられ、その消費拡大に繋がる方法なのか、疑問が残る。
私は寧ろ日本型消費方法、つまり日本人の美意識に基づいた嗜好品として
「季節の果物を贈る」という民族特有の麗しい慣習を再評価するべきと、考えている。
要は、理由に係わらず、身の回りに果物を供給すれば、
国産果実の本質的魅力で、自然、消費が進むと思う。

    

「

    貰えば食べる」「手元にあれば食べる」「美味しかったから人にも贈る」
そしてどんどん気軽に贈る事、贈られる事に慣れ親しんで頂く。
確かに、お中元、お歳暮といった儀礼的なマーケットは縮小しているが、
季節感が有り、好き嫌いが少なく、生活のゆとりを感じさせる果物のプレゼントは、
現代の日本人の精神性にもマッチしている。
従って、果物を贈る事が特別な事でなく、普段の日常のコミュニケーションに
登場する、欠くべからざるアイテムとしてPRするべきと思う。
米国に習って、一日に食べる量目の目標や、調理の素材としての使い方を勧めるキャンペ―ンは、
少なくとも今のライフスタイルに合っているとは言えないし、
国産果実の真の魅力を伝えるには不充分である。



    「自然」「恩恵」「季節」「健康」「故郷」「収穫」「感謝」・・といった
日本人の感性に響くメッセージで、人様に贈り贈られるだけの価値を、
もっと認識されるべきで、それに見合うだけの質を持つ果物の供給が、必要条件となる。