弘法屋

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提案に 遊び心を 日本農業新聞2010年1月

  • 2010年もいよいよスタートしたが、青果市場は、相変わらず静かで市場らしい活気が無い。


    うちの店ではこんな時、常道ではあるが、試食販売や新商品の投入といったイベントを入れる。
市場でも、その機能を生かした、開かれたイベントを企画してはどうだろうか?
 かつての市場の元気を取り戻すには、外部のパワーを注入するしかない。

    たとえば、産地で開催されている品評会や農業祭を移転し、
今まで「市場向き」とされていなかったものや、
地域固有のもの等、さまざまな価値の作物を集める。
テーマに合わせて、他業界からの審査員が評価基準を作り、再評価し、
新しい価値を持った商品として、市場から世に送り出す・・。

    少々乱暴かもしれないが、テーマを考えるだけでも楽しいではないか。
リサイクルショップ、貸収納業が流行るのは、既存のモノが余り、それに飽きた証拠。

    今、持っていないモノ、知らないモノ、気づかされるモノを創造していかなければ、新しい価値は生まれない。


    先日、とある会合で出会った料理研究家の女性が、
「今の国産の果物は、甘さだけを身上にするから、スウィーツとバッティングするのよ」と言っていた。

    そう、果物は、デザートだけではないのだ。

    市場は、物を動かす事だけでなく、色々な価値という情報の送受信を行う事が、
特に対象が嗜好品であるが故に大切と思う。

    そうだ!デフレ疲れのお客様には、「遊び心」が効くだろう。
    
物と金だけの平面的価値から、文化という立体的価値を楽しむ「遊び心」が。
バブル期ですら単価は上がっても、消費量はさしてふえてはなかったのに、
世は「安くなければ」という呪文にかかってしまっている。

    平面的な世の気運に流され過ぎないよう「遊び心」を忘れず、
お客様の志向やサイズに合ったものを注意深く見極めて、
バットを短く持って細かい「ヒット」を狙っていこうと思う、
新年一月である。