当社のある名古屋では、トヨタショックの影響を顕著に受け、 昨年、10月ごろから急激に法人需要が抑制された。 今まで名古屋が「元気」とされてきた部分が、バッサリ削除された形である。
歳暮の売れ筋アイテムも、法人の好む産直型の 「リンゴ(サンふじ・王林)」「西洋梨(ラフランス)」「温州みかん」の単品ものから 個人需要型の詰め合わせや、 良品少量指向のデコポンや化粧箱入りいちごに シフトしていったように思われる。 中元・歳暮の市場(マーケット)は年々微減していくが、 重要なのは、全体の減少幅よりも、 フルーツ関連(青果・デザート)のシェアを上げることであり、 今後、それは可能と考えている。
もともと、中元・歳暮は季節のご挨拶という意味合いが強く、 シーズン性の強いものが、やはり根強い人気を持っているからである。 シーズン(旬)は自然の限定品、 又、希少性をアピールする最高の情報とも考えれば、 その時期に一番旨いもの、リピートをとる力のあるものを ギフトとしてセールスするのが有効である。
しかしながら、一方で 量販店の青果売場で、 りんごやラフランスが、「安さ」という情報だけを付加されて 無造作に盛売りされているところを見ると ギフトアイテムへのエントリーを自ら降りている戦略としか思えない。 あれだけの量が、全て品質を劣化させずにその魅力を伝え、 市場の拡大を図っているならまだしも、 品質とイメージのダウンというマイナス効果の方が 大きく見えるのは私だけだろうか?
できたものの量を捌くことを優先しすぎる姿勢は、 果樹生産の将来的展望を語るには、あまりに節操がない。 世の中の経済状況が厳しくなる中では 一層、外観やサイズだけでなく、 使われ方、食べられ方できめ細やかに流通をコントロールすることが大切である。 「実用性」「明朗性」「オーソドックス」「ハイコストパフォーマンス」を キーワードに 「ハレ」という生活の華をプラスした戦略が、 今年のトレンドとして望まれる。