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高級店向けの極上果実生産を 農業共済新聞2012年12月

  • 先日、大阪の果専一番店「丸留」さんの新装された店舗を見学してきた。
まさに一流ホテルのロビー、名門ゴルフ場のフロントの様な佇まいが感じられ、
およそ今まで持っていた高級果実店の店舗イメージとは一線を画す、
素晴らしい出来栄えであった。

店内は、高級腕時計やジュエリーが販売されていても何の違和感も無いほど洗練され、
様々な演出装置が工夫されていて、
ジュエリーを選び買い物されるように宝石のようなフルーツが販売されている。


    なるほど腕時計が、時を刻む道具という価値だけで扱われていないのと同様、
日本の果物には、単に食品の価値以上の評価があり、
現にギフトとして、そう扱われてきた。



    今や、精密機械としての腕時計は、家電量販店での扱いだが、
職人の手作りによる装飾品として価値が認められているそれは、
宝石店で売られているのだ。



    フルーツの食品以上の価値に特化して販売しようとすると、
食を満たす欲求に訴える必要がなく、寧ろそれを抑制することで、
食品としての機能以外の価値を際立たせている。
実に、自信と勇気をもって作られた極めて斬新な店舗といえる。



    さて、そこで問題は、そんなステージで扱われるべき商品である。
安定、大量、安価をテーマに作られてきた果物では当然、値しない。
職人的技術と努力、愛情に育まれた果物が相応しい。
安定的でなくても、多少コストが余分でも、嗜好品としての極みを目指した果物である。

    



    我々、果専店は、そんな果物が、きちんと評価され、
正規の市場流通に乗って手元に届くことを望んでいる。
生産者の皆様には、大阪「丸留」さんのステージを目指して、
品質本位の極上の果物を生産して頂きたい。